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大正10年農商務省令第33号
特許法施行規則(大正10年12月17日)
特許法施行規則左ノ通定ム
特許法施行規則
第一章 総則
第一条 特許局ニ対シテ為ス出願、請求其ノ他ノ手続ハ法令ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外書面ヲ以テ之ヲ為スヘシ
2 書面ハ一件毎ニ一通ヲ作リ之ニ差出人ノ住所又ハ居所及差出ノ年月日ヲ記載シ差出人記名捺印スヘシ
第二条 書面ハ日本語ヲ以テ之ヲ認ムヘシ
2 委任状、国籍証明書其ノ他ノ書類ニシテ外国語ヲ以テ認メタルモノニハ其ノ訳文ヲ添附スヘシ
第三条 特許局ニ書面ヲ差出ス者ハ相手方ニ送付スル為必要ナル員数ノ副本ヲ差出スヘシ但シ相手方数人アル場合ニ於テ特許法第二十一条第一項但書ノ代表者アルトキハ其ノ代表者ノ数ニ応スル副本ヲ差出スヲ以テ足ル
第四条 特許ヲ受クルノ権利ヲ承継シタル者カ出願、請求其ノ他ノ手続ヲ為ス場合ニ於テハ其ノ承継人タルコトヲ証スル書面ヲ差出スヘシ
第五条 代理人カ出願、請求其ノ他ノ手続ヲ為ス場合ニ於テハ其ノ代理権ヲ証スル書面ヲ差出スヘシ
第六条 特許法第十七条又ハ第二十一条第二項ニ規定スル届出ヲ為ス者ハ其ノ事実ヲ証スル書面ヲ差出スヘシ
第七条 外国人カ出願、請求其ノ他ノ手続ヲ為ス場合ニ於テハ其ノ国籍ヲ証スル書面及万国工業所有権保護同盟条約国又ハ帝国ト特許ニ関シ相互保護ヲ約セシ国以外ノ国ノ臣民又ハ人民ナル場合ニ在リテハ尚同盟国中ノ一国ノ版図内ニ住所又ハ現実且真誠ナル工業的若ハ商業的営業所ヲ有スルコトヲ証スル書面ヲ差出スヘシ
2 前項ノ外国人カ法人ナルトキハ其ノ法人タルコトヲ証スル書面ヲ差出スヘシ
第八条 前四条ノ規定ニ依リ差出スヘキ証明書ハ同時ニ数箇ノ出願、請求其ノ他ノ手続ヲ為ス場合ニ於テハ其ノ一ノ手続ニ付之ヲ差出シ其ノ他ノ手続ニ付テハ其ノ旨ヲ表示シテ其ノ差出ヲ省略スルコトヲ得
第九条 他ノ事件ニ付特許局ニ対シ既ニ証明書ヲ差出シタル者ハ前五条ノ場合ニ於テ其ノ事項ニ変更ナキトキハ其ノ謄本ヲ以テ証明書ニ代フルコトヲ得但シ特許局長官必要ト認ムルトキハ証明書ノ差出ヲ命スルコトヲ得
第十条 特許局ニ対シ特許権又ハ特許出願後其ノ出願ニ関シ書類其ノ他ノ物件ヲ差出ス者ハ之ニ其ノ特許番号又ハ願書番号及発明ノ名称ヲ表示シ審判、抗告審判又ハ再審ノ請求後其ノ請求ニ関シ書類其ノ他ノ物件ヲ差出ス者ハ之ニ審判番号又ハ抗告審判番号ヲ表示スヘシ
第十一条 特許局ニ対シテ為シタル出願、請求其ノ他ノ手続カ特許法若ハ本則ニ定メタル方式ニ違背シタル場合、其ノ手続ニ付代理権ヲ証スル書面ヲ差出サス若ハ成規ノ手数料ヲ納付セサル場合又ハ特許局ニ差出シタル書類、雛形若ハ見本カ不明瞭若ハ不完備ナル場合ニ於テハ特許局長官ハ法令ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外期間ヲ指定シテ其ノ訂正又ハ補充ヲ命スルコトヲ得但シ其ノ要旨ヲ変更スルモノハ此ノ限ニ在ラス
2 特許局ニ書類、雛形又ハ見本ヲ差出シタル者ハ審査、審判、抗告審判又ハ再審ノ繋属中ニ限リ之ヲ訂正シ又ハ補充スルコトヲ得但シ其ノ要旨ヲ変更スルモノハ此ノ限ニ在ラス
3 出願公告ノ決定アリタル後ニ於テハ出願人ハ特許法第七十五条第五項ノ命令ニ依ル場合ヲ除クノ外出願ニ関スル書類、雛形又ハ見本ヲ訂正シ又ハ補充スルコトヲ得ス
第十二条 前条ノ規定ノ適用ニ関シテハ独立ノ特許出願ヲ追加ノ特許出願ニ、追加ノ特許出願ヲ独立ノ特許出願ニ変更シ又ハ明細書ニ記載シタル事項ノ範囲内ニ於テ特許請求ノ範囲ヲ増減変更スルハ其ノ要旨ヲ変更スルモノト看做サス
第十三条 審査、審判、抗告審判又ハ再審ニ関シ審判長又ハ審査官必要ト認ムルトキハ当事者、特許異議申立人又ハ参加人ニ対シ期間ヲ指定シテ雛形又ハ見本ノ差出ヲ命スルコトヲ得
第十四条 特許局ニ差出シタル雛形又ハ見本ノ還付ヲ受ケムトスル者ハ其ノ差出ノ際其ノ旨ヲ申出ツヘシ
2 前項ノ雛形若ハ見本又ハ特許局ニ差出シタル証拠物件ハ特許局ヨリ還付ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三十日内ニ其ノ受取ノ手続ヲ為スヘシ
3 差出人カ第一項ノ申出又ハ前項ノ手続ヲ為ササルトキハ特許局長官ハ其ノ雛形又ハ見本ヲ処分スルコトヲ得
第十五条 特許局長官、審判長又ハ審査官ハ請求ニ依リ又ハ職権ヲ以テ特許法又ハ本則ニ依リ其ノ指定シタル期日又ハ期間ヲ変更スルコトヲ得
2 相手方アル事件ノ期日又ハ期間ノ変更ノ請求ハ其ノ合意又ハ顕著ナル事由アル場合ニ限リ之ヲ許可ス
第十六条 特許法第二十四条第二項又ハ第二十五条ニ規定スル請求ヲ為ス者ハ請求書ニ障礙ノ事実並其ノ発生及消除ノ年月日ヲ記載シ且之ヲ疏明シ同時ニ其ノ懈怠シタル手続ヲ追完スヘシ
第十七条 特許願書又ハ差出スヘキ期日若ハ期間ノ定アル書類若ハ物件ノ郵便ニ依ル差出ハ郵便物受領証ニ依リテ差出シタル日時ヲ証シタル場合ニ在リテハ其日時ニ於テ、其ノ他ノ場合ニ在リテハ消印記号ニ記載シタル日時ニ於テ其ノ効力ヲ生ス
2 前項ノ郵便物ニシテ郵便物受領証ニ依リテ其ノ差出シタル日時ヲ証スルコト能ハサルモノ又ハ消印記号ナキカ若ハ其ノ不明ナルモノハ特許局カ之ヲ受領シタル日時ニ於テ差出ノ効力ヲ生ス
第十八条 前条ノ郵便物ヲ除クノ外書類又ハ物件ノ差出ハ特許局カ之ヲ受領シタル日時ニ於テ其ノ効力ヲ生ス
第十九条 審査ニ関スル書類ニシテ法令ニ送達スヘシトノ規定アルモノ、期日若ハ期間ヲ指定セルモノ又ハ送達ニ依リ期間ノ進行ヲ始ムルモノハ郵便ニ依リ又ハ特許局ノ使丁ヲ以テ之ヲ送達ス
2 郵便ニ依リ送達ヲ為ストキハ逓信省令ノ定ムル特別ノ手続又ハ書留郵便ニ依ル
3 特許局ノ使丁ヲ以テ送達ヲ為ストキハ使丁ハ其ノ書類ノ封皮ニ送達ノ年月日ヲ記載シテ記名捺印シ其ノ書類ヲ受取リタル者ハ受領ノ年月日ヲ記載シタル受領証ヲ使丁ニ交付スヘシ但シ受取人受領証ノ交付ヲ拒ミタルトキ又ハ受領証ヲ作ルコト能ハサル旨ヲ述ヘタルトキハ使丁ハ其ノ旨ヲ記載シタル調書ヲ作リ記名捺印スヘシ
第二十条 審判、抗告審判又ハ再審ニ関スル書類ハ郵便ニ依リ又ハ特許局ノ使丁ヲ以テ之ヲ送達ス此ノ場合ニ於テハ民事訴訟法第百三十八条乃至第百四十条、第百四十二条、第百四十四条乃至第百四十九条、第百五十一条第一項第二項、第百五十四条及第百五十五条ノ規定ヲ準用ス
第二十一条 住所又ハ居所ノ知レサル為書類ノ送達ヲ為スコト能ハサル場合ニ於テハ特許局長官、審判長又ハ審査官ハ官報及特許公報ヲ以テ其ノ旨ヲ公告シ且特許局ノ掲示板ニ之ヲ掲示スヘシ此ノ場合ニ於テ官報公告ノ日ヨリ二十日ヲ経過シタルトキハ其ノ末日ニ於テ書類ノ送達アリタルモノト看做ス
2 前項ノ官報及特許公報ノ公告ハ同一事件ニ付同一人ニ対シテ為ス送達ニ付テハ之ヲ省略スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ特許局ノ掲示板ニ掲示シタル日ニ於テ書類ノ送達アリタルモノト看做ス
第二十二条 特許法第十六条第三項ニ規定スル代理人ノ選任ノ登録ナキ場合ニ於テ帝国内ニ住所ヲモ居所ヲモ有セサル特許権者又ハ特許権ニ関シ登録シタル権利ヲ有スル者ニ対シテ為ス送達ハ第十九条及第二十条ノ規定ニ拘ラス郵便ニ依リ之ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ書類ヲ郵便ニ付シタル日ニ於テ送達アリタルモノト看做ス
第二十三条 特許局長官又ハ審判長特許法第二十八条ノ規定ニ依リ承継人ニ対シ手続ヲ続行セムトスルトキハ其ノ旨ヲ相手方ニ通知スヘシ
第二十四条 出願、審判、抗告審判又ハ再審ノ当事者カ死亡シタルトキハ承継人カ其ノ手続ヲ受継クマテ之ヲ中断ス
第二十五条 出願、審判、抗告審判又ハ再審ノ当事者カ破産ノ宣告ヲ受ケタル場合ニ於テ其ノ特許ヲ受クルノ権利又ハ特許権若ハ之ニ関スル権利カ破産財団ニ属スルトキハ其ノ手続ハ破産管財人カ之ヲ受継キ又ハ破産手続ノ解止アルマテ之ヲ中断ス
第二十六条 出願、審判、抗告審判又ハ再審ノ当事者カ訴訟能力ヲ失ヒ又ハ法定代理人カ死亡シ若ハ其ノ代理権カ消滅シタルトキハ法定代理人又ハ本人カ其ノ手続ヲ受継クマテ之ヲ中断ス
第二十七条 委任ニ因ル代理人アル場合ニ於テ出願、審判、抗告審判又ハ再審ノ当事者カ死亡シ若ハ訴訟能力ヲ失ヒ又ハ法定代理人カ死亡シ若ハ其ノ代理権カ消滅シタルトキハ其ノ届出アリタル場合ニ限リ其ノ手続ハ届出ノ時ヨリ其ノ受継アルマテ之ヲ中断ス
第二十八条 前四条ノ規定ニ依リ手続ノ中断アリタルトキハ特許局長官又ハ審判長ハ其ノ旨ヲ相手方ニ通知スヘシ
第二十九条 出願、審判、抗告審判又ハ再審ノ委任ニ因ル代理人カ死亡シ又ハ訴訟能力ヲ失ヒタルトキハ特許局長官又ハ審判長ハ申立ニ依リ又ハ職権ヲ以テ本人又ハ代理人カ其ノ手続ヲ受継クマテ之ヲ中止スルコトヲ得
第三十条 出願、審判、抗告審判又ハ再審ノ当事者カ戦時兵役ニ服スルトキ又ハ戦争其ノ他ノ障礙ニ因リ特許局ト交通ノ絶エタル地ニ在ルトキハ特許局長官又ハ審判長ハ申立ニ依リ又ハ職権ヲ以テ其ノ障礙ノ止ムマテ其ノ手続ヲ中止スルコトヲ得
第三十一条 出願、審判、抗告審判又ハ再審ノ手続ノ中断及中止ハ期間ノ進行ヲ止メ及中断又ハ中止ノ終リタル後更ニ全期間ノ進行ヲ始ムル効力ヲ有ス
2 特許局長官、審判長又ハ審査官ハ中断及中止ノ間其ノ事件ニ関スル手続ヲ続行スルコトヲ得ス
第三十二条 中断又ハ中止シタル出願、審判、抗告審判又ハ再審ノ手続ノ受継ハ其ノ旨ヲ記載シタル書面ヲ特許局ニ差出シテ之ヲ為スヘシ
2 前項ノ受継アリタルトキハ特許局長官又ハ審判長ハ其ノ旨ヲ相手方ニ通知スヘシ
第三十三条 中断又ハ中止シタル出願、審判抗告審判又ハ再審ノ手続ニ付当事者、承継人又ハ代理人カ其ノ受継ヲ怠リタルトキハ特許局長官又ハ審判長ハ申立ニ依リ又ハ職権ヲ以テ期間ヲ指定シテ受継ヲ命スヘシ
2 前項ノ期間内ニ受継ナキトキハ特許局長官又ハ審判長ハ期間満了ノ日ニ於テ其ノ受継アリタルモノト看做スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ旨ヲ各当事者ニ通知スヘシ
第三十四条 書類ノ謄本若ハ図面ノ調製ヲ求メ又ハ書類、雛形若ハ見本ノ閲覧若ハ謄写ヲ為サムトスル者ハ口頭ヲ以テ之ヲ申請スルコトヲ得
第三十五条 書類ノ謄本ニハ其ノ末尾ニ原本ト相違ナキコトヲ認証スル旨ヲ記載シ特許局官吏之ニ記名捺印スヘシ
２ 書類ノ謄本ノ交付ヲ申請スル者カ其ノ書類ヲ差出シタルトキハ之ヲ用ヰテ謄本ヲ作成スルコトヲ得
第三十六条 特許局長官必要ト認ムルトキハ特許権者又ハ特許法第四十一条ノ規定ニ依ル実施権者ニ対シ特許発明実施ノ状況ノ報告ヲ命スルコトヲ得
第二章 出願
第三十七条 特許ヲ受ケムトスル者ハ願書ニ明細書及必要ナル図面ヲ添ヘ之ヲ特許局ニ差出スヘシ
2 前項ノ書類及図面ニハ各其ノ副本一通ヲ添附スヘシ爾後差出スヘキ明細書及図面ニ付亦同シ
3 出願人カ発明者ニ非サル場合ニ於テハ願書ニ発明者ノ氏名及住所ヲモ記載シ発明者数人アルトキハ尚共同ノ発明ニ係ル事実ヲ証スル書面ヲ差出スヘシ
第三十八条 明細書ニハ左ノ事項ヲ記載スヘシ
- 一 発明ノ名称
- 二 発明ノ性質及目的ノ要領
- 三 図面ノ略解
- 四 発明ノ詳細ナル説明
- 五 発明相互ノ関係
- 六 特許請求ノ範囲
2 発明ノ名称ハ其ノ発明ノ内容ヲ簡明ニ表示スヘシ
3 発明ノ性質及目的ノ要領ニハ其ノ発明ノ特徴及直接ノ効果ヲ簡明ニ記載スヘシ
4 発明ノ詳細ナル説明ニハ其ノ発明ノ構成、作用、効果及実施ノ態様ヲ記載スヘシ
5 発明相互ノ関係ニハ追加ノ特許出願ニ在リテハ其ノ原発明ノ改良又ハ拡張ノ態様ヲ、他ノ特許発明又ハ登録実用新案ヲ実施スルニ非サレハ実施スルコト能ハサル発明ノ特許出願ニ在リテハ其ノ実施ノ態様ヲ、特許法第七条但書ノ規定ニ依ル特許出願ニ在リテハ各発明ノ牽連スル態様ヲ記載スヘシ
6 特許請求ノ範囲ニハ発明ノ構成ニ欠クヘカラサル事項ノミヲ一項ニ記載スヘシ但シ発明実施ノ態様ヲ別項ニ附記スルコトヲ妨ケス此ノ場合ニ於テハ其ノ附記タル旨ヲ明示スヘシ
7 特許法第七条但書ノ規定ニ依リ特許出願ヲ為ス場合ニ於テハ権利ヲ請求スル各発明ニ付亦前項ニ同シ
第三十九条 数人共同シテ特許ヲ出願シ又ハ特許法第十二条第三項ニ規定スル名義変更ノ届出ヲ為ス場合ニ於テ出願人又ハ届出人ノ権利ニ付持分ノ定アルトキ、特許法第四十四条第二項ノ同意アルトキ又ハ同法第四十七条若ハ民法第二百五十六条第一項但書ノ契約アルトキハ願書又ハ届出ニ其ノ旨ヲ記載シ其ノ事実ヲ証スル書面ヲ差出スヘシ
第四十条 特許出願ニ付条約ニ依ル優先権ヲ主張セムトスル者ハ願書ニ最初ニ出願シタル条約国ノ認証ニ係ル出願年月日ヲ記載シタル書面、発明ノ明細書及図面ノ謄本又ハ其ノ政府ノ発行シタル公報若ハ特許証ヲ添附スヘシ
第四十一条 特許法第六条第一項ノ規定ノ適用ヲ受ケムトスル者ハ願書ニ博覧会開会ノ年月日及出品ノ年月日ヲ証スル書面並其ノ出品シタル発明ニ関スル説明書及必要ナル図面ヲ添附スヘシ
第四十二条 特許局長官特許願書ヲ受理シタルトキハ之ニ番号ヲ附シ其ノ番号ヲ出願人ニ通知スヘシ
第四十三条 特許法第八条但書又ハ第十二条第三項但書ノ場合ニ於テハ特許局長官ハ相当ノ期間ヲ指定シ其ノ期間内ニ協議ニ依リ権利者ヲ定メ之ヲ届出ツヘキ旨出願人又ハ関係人ニ通知スヘシ
2 前項ノ期間内ニ届出ナキトキハ特許局長官ハ協議調ハサルモノト看做スコトヲ得
第四十四条 二以上ノ発明ヲ包含スル特許出願ヲ二以上ノ出願ト為サムトスル者ハ其ノ一発明ニ付テハ出願ヲ訂正シ同時ニ他ノ各発明ニ付新ナル出願ヲ為スヘシ
第三章 審査
第四十五条 特許法第七十三条第五項ニ規定スル出願公告ノ猶予ノ請求ハ出願公告ノ決定アルマテ之ヲ為スコトヲ得
2 前項ノ請求書ニハ猶予期間ヲ記載スヘシ
第四十六条 特許異議ノ決定ニハ左ノ事項ヲ記載シ審査官之ニ記名捺印スヘシ
- 一 願書番号
- 二 発明ノ名称
- 三 出願人、特許異議申立人及参加人並此等ノ代理人ノ氏名名称
- 四 決定ノ主文又理由
- 五 決定ノ年月日
第四十七条 査定ニハ左ノ事項ヲ記載シ審査官之ニ記名捺印スヘシ
- 一 願書番号
- 二 発明ノ名称
- 三 出願人及代理人ノ氏名名称
- 四 出願公告ノ年月日
- 五 査定ノ主文及理由
- 六 査定ノ年月日
2 出願公告ノ年月日ニハ特許法第七十九条ノ規定ニ依リ査定ヲ為ス場合ニ在リテハ特許ヲ受クルコト能ハサルニ至リタル特許出願又ハ無効ト為リタル特許ノ出願公告ノ年月日ヲ記載スヘシ
第四十八条 査定アリタルトキハ特許局長官ハ其ノ謄本ヲ出願人ニ送達スヘシ
2 出願公告ノ決定、特許異議ノ決定、参加許否ノ決定又ハ証拠決定アリタルトキハ特許局長官ハ其ノ謄本ヲ出願人、特許異議申立人、参加人及参加申請人ニ送附スヘシ
第四十九条 特許出願人カ特許ヲ受クルノ権利ノ承継人ニ非サル者又ハ特許ヲ受クルノ権利ヲ冒認シタル者ナルニ因リ其ノ特許出願ニ付拒絶ノ査定、審決又ハ判決アリタル場合ニ於テ特許局長官必要ト認ムルトキハ其ノ旨ヲ特許法第十条ニ規定スル正当権利者ニ通知スヘシ
第五十条 第五十六条、第六十一条、第六十四条及第六十七条ノ規定ハ審査ニ関シ之ヲ準用ス
第四章 審判、抗告審判及再審
第五十一条 審判又ハ抗告審判ノ請求書ニハ左ノ事項ヲ記載スヘシ
- 一 当事者及代理人ノ氏名名称及住所又ハ居所
- 二 審判事件又ハ抗告審判事件ノ表示
- 三 一定ノ申立及理由
2 利害関係人カ審判ヲ請求スル場合ニ於テハ請求書ニ其ノ利害関係ヲ記載スヘシ
3 特許又ハ実用新案ノ登録ニ係ラサルモノニ関シ特許権ノ範囲ノ確認審判ヲ請求スル場合ニ於テハ其ノ説明書及必要ナル図面ヲ差出スヘシ
第五十二条 共有ニ係ル特許権ニ付特許権者ニ対シ審判又ハ抗告審判ヲ請求スル場合ニ於テハ其ノ共有者ノ全員ヲ以テ被請求人ト為スヘシ
第五十三条 特許法第四十九条ニ規定スル審判ノ請求書ニハ第五十一条ニ掲クル事項ノ外左ノ事項ヲ記載シ尚補償金額ノ計算ニ関スル書類ヲ添附スヘシ
- 一 実施ヲ要スル特許発明ノ特許ノ番号及名称
- 二 実施セラルヘキ特許発明又ハ登録実用新案ノ特許番号又ハ登録番号及名称並其ノ特許又ハ登録ノ年月日
第五十四条 特許法第五十三条ノ審判ヲ請求スル場合ニ於テハ請求書ニ訂正シタル明細書又ハ図面ヲ添附スヘシ
2 第三十七条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
3 特許法第五十三条第二項ノ審判ヲ請求スル場合ニ於テ追加ノ特許権アルトキハ請求書ニ尚其ノ追加ノ特許権ノ特許番号及附随スヘキ特許権ヲ表示スヘシ
第五十五条 特許局長官審判又ハ抗告審判ノ請求書ヲ受理シタルトキハ之ニ番号ヲ附シ其ノ番号及其ノ事件ニ付指定シタル審判官ノ氏名ヲ当事者ニ通知スヘシ審判官ニ変更アリタルトキ亦同シ
第五十六条 審判又ハ抗告審判ノ請求書、答弁書其ノ他審判又ハ抗告審判ニ関シ特許局ニ差出ス書面ニハ必要ナル証拠方法ヲ記載シ証拠物件アルトキハ之ヲ添附スヘシ
2 前項ノ証拠物件カ書面ナル場合ニ在リテハ尚其ノ謄本ヲ、其ノ他ノモノナル場合ニ在リテハ尚其ノ図面又ハ雛形若ハ見本ヲ特許局及相手方ノ数ニ応シテ差出スヘシ但シ雛形又ハ見本ヲ差出ス場合ニ於テハ之ニ其ノ図面一通ヲ、其ノ図面ヲ調製スルコト能ハサルトキハ説明書ヲ添附スヘシ
第五十七条 口頭審理ニ依リ審判ヲ為サムトスル場合ニ於テハ審判長ハ期日ヲ定メ之ヲ当事者、特許異議申立人及参加人ニ通知スヘシ
第五十八条 審判又ハ抗告審判ノ当事者ハ口頭審理ニ於テ演述スヘキ事項ノ要領ヲ記載シタル書面ヲ特許局ニ差出スヘシ
第五十九条 口頭審理ニ於テハ日本語ヲ用ウヘシ但シ日本語ニ通セサル者ハ通事ヲ用ウルコトヲ得
第六十条 口頭審理ニ於テハ調書ヲ作リ審判長及之ヲ作リタル官吏之ニ記名捺印スヘシ
第六十一条 審判又ハ抗告審判ノ請求ノ取下アリタルトキハ特許局長官ハ其ノ旨ヲ相手方ニ通知スヘシ
第六十二条 審決又ハ決定アリタルトキハ特許局長官ハ其ノ謄本ヲ当事者、特許異議申立人、参加人及参加申請人ニ送達スヘシ
第六十三条 審決ニハ左ノ事項ヲ記載シ審判官之ニ記名捺印スヘシ
- 一 審判番号又ハ抗告審判番号
- 二 当事者、参加人及代理人ノ氏名名称及住所又ハ居所
- 三 審判事件又ハ抗告審判事件ノ表示
- 四 当事者及参加人ノ申立及理由ノ要領
- 五 審決ノ主文及理由
- 六 審決ノ年月日
2 査定ニ対スル抗告審判ノ審決ニハ尚出願公告ノ年月日ヲ記載スヘシ
3 特許法第五十三条第二項ノ許可ノ審決ニ於テ追加ノ特許権アルトキハ其ノ追加ノ特許権ノ特許番号及附随スヘキ特許権ヲ主文中ニ表示スヘシ
第六十四条 参加ノ許否決定ニハ左ノ事項ヲ記載シ審判官之ニ記名捺印スヘシ
- 一 審判番号又ハ抗告審判番号
- 二 当事者及代理人ノ氏名名称
- 三 参加申請人及代理人ノ氏名名称及住所又ハ居所
- 四 決定ノ主文及理由
- 五 決定ノ年月日
第六十五条 拒絶ノ査定ニ対スル抗告審判ニ於テ其ノ査定ヲ破毀シ更ニ審査ニ付スヘシトノ審決アリタルトキハ特許局長官ハ審査官ヲシテ更ニ審査ヲ為サシムヘシ
2 大審院ニ於テ審決ヲ破毀シ其ノ事件ヲ特許局ニ差戻シタル場合ニ於テハ特許局長官ハ抗告審判ニ関スル規定ニ依リ更ニ審判ヲ為サシムヘシ
第六十六条 特許カ特許ヲ受クルノ権利ノ承継人ニ非サル者又ハ特許ヲ受クルノ権利ヲ冒認シタル者ノ受ケタルモノナルニ因リ其ノ特許ヲ無効トスル審決又ハ判決アリタル場合ニ於テ特許局長官必要ト認ムルトキハ其ノ旨ヲ特許法第十一条ニ規定スル正当権利者ニ通知スヘシ
第六十七条 審判、抗告審判又ハ出訴ノ費用ノ額ノ決定ヲ受ケムトスル者ハ請求書ニ費用計算書三通及其ノ費用ヲ要シタルコトヲ証スル書面ヲ添ヘ之ヲ特許局長官ニ差出スヘシ
第六十八条 第四十五条、第四十六条、第四十七条第二項及第四十九条ノ規定ハ査定ニ対スル抗告審判ニ関シ之ヲ準用ス
2 第四十六条ノ規定ハ特許法第五十三条ノ許可ノ審判及抗告審判ニ関シ之ヲ準用ス
第六十九条 本章ノ規定ハ再審ニ関シ之ヲ準用ス
第五章 特許証、特許標記及特許料
第七十条 特許証ハ別記書式ニ依リ之ヲ作リ明細書及必要ナル図面ヲ添附スヘシ
第七十一条 特許証カ亡失シ又ハ毀損シタルトキハ特許証主ハ其ノ事由ヲ疏明シテ特許証ノ再下付ヲ請求スルコトヲ得但シ其ノ毀損ニ因ル場合ニ於テハ其ノ特許証ヲ差出スヘシ
第七十二条 特許証ノ再下付アリタルトキハ旧特許証ハ之ヲ無効トス此ノ場合ニ於テハ特許局長官ハ官報及特許公報ヲ以テ其ノ旨ヲ公告スヘシ但シ前条但書ノ場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラス
2 特許法第五十三条ノ許可ノ審決確定シ又ハ判決アリタル場合ニ於テ特許証ヲ下付シタルトキ亦前項ニ同シ
第七十三条 特許標記ニハ物ノ特許発明ニ在リテハ「特許」ノ文字及其ノ特許番号ヲ、方法ノ特許発明ニ在リテハ「方法特許」ノ文字及其ノ特許番号ヲ表示スヘシ
2 特許法第六十四条第四項ノ場合ニ於ケル特許標記ニハ前項ニ依ル記載ニ「一部」ノ文字ヲ加フヘシ
第七十四条 特許料ハ左ノ各号ニ定ムル期間内ニ之ヲ納付スヘシ
- 一 特許法第六十五条第一項ノ第一年乃至第三年分ノ特許料、同条第三項ノ特許料又ハ同条第六項ノ規定ニ依リ正当権利者ノ納付スヘキ特許料ハ特許スヘシトノ査定若ハ審決確定シ又ハ判決ノ送達アリタル日ヨリ三十日
- 二 特許法第六十五条第二項ノ第一年分ノ特許料及同条第四項ノ特許料ハ特許権ノ存続期間延長ノ許可ノ決定ヲ受ケタル日ヨリ三十日
- 三 特許法第六十五条第五項ノ特許料ハ許可ノ審決確定シ又ハ判決ノ送達アリタル日ヨリ三十日
- 四 追加ノ特許権カ独立ノ特許権ト為リタル場合ニ於テ特許法第六十五条第六項ノ規定ニ依リ納付スヘキ特許料ハ独立ノ特許権ト為リタル日ヨリ三十日
2 前項ノ期間ハ三十日内ヲ限リ請求ニ依リ之ヲ延長スルコトヲ得
第七十五条 特許料ハ収入印紙ヲ以テ之ヲ納付スヘシ
第七十六条 特許法第六十六条第二項ノ規定ニ依リ特許料ノ納付ノ猶予又ハ減免ヲ請求スル者ハ請求書ニ所轄市町村長又ハ之ニ準スヘキ者ノ証明書ヲ添附シ之ヲ特許局ニ差出スヘシ
2 前項ノ証明書ニハ請求人ノ職業、財産及納税額ヲ記載スヘシ
第七十七条 特許証主特許料ヲ納付セサルトキハ特許局長官ハ其ノ旨ヲ特許権ニ関シ登録シタル権利ヲ有スル者ノ全員ニ通知スヘシ
附 則
第七十八条 本則ハ大正十一年一月十一日ヨリ之ヲ施行ス
第七十九条 特許法施行細則ハ之ヲ廃止ス
第八十条 特許法第百三十八条ノ規定ニ依リ為スヘキ処理ニ付テハ仍特許法施行細則ニ依ル
別記
第一号書式
特許第何号
特許証
国籍（外国人ノ場合）
住所（居所）
氏 名（名称）
発明者 何県何誰
発明ノ名称 何々
出願公告 年月日
前記発明ハ特許スヘキモノト確定シタリ仍テ特許原簿ニ登録シ本証ヲ下付ス
年 月 日 特許局長官 氏 名 印
第二号書式
特許第何号（原特許番号）
特許証（追加ノ特許証）
国籍（外国人ノ場合）
住所（居所）
氏 名（名称）
発明者 何県何誰
発明ノ名称 何々
存続期間 自年月日
至年月日
第何号特許（追加ノ特許）ニ係ル前記発明ニ付特許法第五十三条第一項ノ規定ニ依リ明細書（図面）ノ訂正ヲ許可スヘキモノト確定シタリ仍テ特許原簿ニ登録シ本証ヲ下付ス
年 月 日 特許局長官 氏 名 印
第三号書式
特許第何号（原特許番号）ノ一（二、三）
特許証（追加ノ特許証）
国籍（外国人ノ場合）
住所（居所）
氏 名（名称）
発明者 何県何誰
発明ノ名称 何々
存続期間 自年月日
至年月日
第何号特許ニ係ル前記発明ニ付特許法第五十三条第二項ノ規定ニ依リ何箇ノ特許権ト為スコトヲ許可スヘキモノト確定シタリ仍テ特許原簿ニ登録シ本証ヲ下付ス
年 月 日 特許局長官 氏 名 印
第四号書式
特許第何号
追加ノ特許証
国籍（外国人ノ場合）
住所（居所）
氏 名（名称）
発明者 何県何誰
発明ノ名称 何々
原特許権特許第何号
原特許ノ存続期間 自年月日
至年月日
前記発明ハ追加ノ特許トシテ特許スヘキモノト確定シタリ仍テ特許原簿ニ登録シ本証ヲ下付ス
年 月 日 特許局長官 氏 名 印
第五号書式
特許第何号（原特許番号）
特許証（追加ノ特許証）
国籍（外国人ノ場合）
住所（居所）
氏 名（名称）
発明者 何県何誰
発明ノ名称 何々
延長ノ期間 自年月日
至年月日
前記特許権（追加ノ特許権）ノ存続期間延長ノ許可アリタリ仍テ特許原簿ニ登録シ本証ヲ下付ス
年 月 日 特許局長官 氏 名 印